買主の為の「賢い住宅購入術」

2019年後半~2020年前半  今後の住宅ローン金利はどうなる?

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住宅金融支援機構が提供する「フラット35」の金利は、21016年2月のマインナス金利導入後、同年8月に金利の底をついてから去年2018年の11月に向けて緩やかに上昇してきた
しかし、2018年後半米中貿易摩擦も本格化し、 2018年10月の世界同時株安をきっかけに 世界経済は不安定な状況化に、それ以降金利は下落してきた。特に今年の6月から9月にかけて4か月連続下がり、2016年8月に記録した金利の一歩手前まで下落した。(※金利の推移は、下記参照)

フラット35金利推移
※借入期間21年以上35年以下の金利(団信を付けない場合の金利)
5月 1.09%
6月 1.07%
7月 0.98%
8月 0.97%
9月 0.91%
⇒ そして、今月10月の金利は、9月と変わらず0.91%でした。

ローンの金利は 金融政策の行方に大きく左右される!

金利動向は住宅ローンを組む人には重大な関心事。
住宅ローンの金利は、つまり世界経済を見据えた日本の金融政策の行方に左右されます。

フラット35のような「固定金利」は、長期金利に基づいています
長期金利の代表的なものに「新発10年国債利回り」があります。
この長期金利の水準は、主に国内外の投資家が参加する市場取引で決定されます。

一方、 変動金利のうち、たとえば半年型の場合、「短期プライムレート」と呼ばれる、銀行が融資に問題がないと判断した信用力の高い企業に融資をする際に適用される金利(期間1年以内)に基づいて決定されます。
また短期プライムレートは、日銀の政策金利にほぼ連動しています。
つまり、住宅ローンの変動金利は、短期金利=日銀の金融政策の動向に、固定金利は、長期金利=市場参加者の金利見通しにそれぞれ影響を受けることになります。

日銀の現在の金融政策は…?

日銀が金融緩和策を縮小して金利は上昇に向かう――!?
⇒ 昨年の2018年には、 金融市場で出たこんな観測があったが、
米中貿易摩擦による世界経済の減速や、10月消費税増税後の景気の先行き不安を背景に、そんな懸念も一気に後退した・・・。
去年からどのような金融政策になってきているのか?
日銀黒田総裁の昨今の発言を簡単に振り返ってみましょう!

金融政策決定会合後、記者会見する日銀の黒田総裁(9/19、日銀本店)

2019年4月25日、日銀が政策指針を修正
日本銀行は25日の金融政策決定会合で、政策金利のフォワードガイダンス(指針)について「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」と明確化した。
長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針は維持した。

2019年9月19日 金融政策決定会合にて
黒田東彦総裁は記者会見し、2%の物価安定目標の達成に向けたモメンタム(勢い)が損なわれるおそれについて「より注意が必要な情勢になりつつあると判断した」と語った。
そのうえで「追加緩和について前回より前向きなのかと言われれば、その通りだ」と述べ、必要があれば追加の金融緩和に踏み切る姿勢を強調し、今回の会合で大規模な金融緩和政策の現状維持を決めた今月10月会合で追加緩和を具体的に検討する考えを示している

日本経済新聞(2019/9/19)

つまり、
今後もしばらくは大規模な金融緩和政策が続く事が予想され
ローンの金利も多少の変動はあったとしても大きく金利上昇というシナリオは、直近ではなさそうである。

不動産の価格は、「金利」に大きく影響を受ける

不動産の価格は、金利に大きく影響されます。オリンピックが終わった後に不動産は下落するという噂から、もう少し待っていれば、不動産の下落があるかもしれないと1年・2年と見送っている方を何人も見ています。私個人的な意見ですが、「金利の大幅な上昇」や「世界経済の大混乱」がない限り、首都圏の主要なエリアでは不動産の極端な下落はすぐに無いと思っています。

2019年現在、住宅ローンはかつてないほどの超低金利で推移しており、住宅取得のチャンスであるのは間違いないといえます。住宅ローンを組んで住宅を購入する大半の方にとっては、金利の動向は住宅取得に大きく影響してくる。だから、いつ不動産価格が落ちるかを待ちわびるよりか、この超低金利のこの期間にフラット35等の「全期間固定金利」などでローンを組んでしまった方が、将来の金利上昇等の変動を気にする事もなく、ライフプランも立てやすいのは間違いありません。

住宅ローン金利は融資実行時の金利が適用される

この超低金利を上手に活用するためには、早めにマイホーム購入計画を練る必要がある。
というのも、原則的に住宅ローン金利は融資実行時の金利が適用されるため、申込時の金利がそのまま適用されることはないからだ。

完成済みの新築マンションや建売住宅であれば、契約後すぐに入居することも可能であるが、中古住宅の取得であれば、売買契約から2~3か月程度の範囲で引渡しが条件になる事が多い。まだこのぐらいであれば、良いが、新築分譲マンションは下手すれば2年後に完成、2年後の金利が適用となるケースもある。注文建築をしてもローンの利用までは半年後に金利になる可能性が高い。そんなに先でないにしても、今から初めて購入を計画するかただと、やはり3か月から6か月後ぐらいの金利が適用されるという事を念頭に入れておこう!

購入時期で迷っている方は、この辺りの金利背景なども考慮しつつ、住宅購入の計画を進めることをお勧めします。

執筆者のプロフィール

リニュアル仲介株式会社不動産事業部長NAKATA
1974年 京都生まれ。家業であった呉服業界できものの販売をしていた経歴をもつ。不動産業に転職後、品川区・大田区で地元不動産会社に勤務。賃貸や売買の仲介、買取り、その他管理業務などにも携わる。現在、全国550社を超えるリニュアル仲介FC本部パイロット店の責任者へ。
普段は主に、首都圏の中でも城南エリアを中心に活動しています。

不動産業界は消費者の方が住宅を購入する際に安心して購入できる環境がまだまだ少なく、情報が不透明な部分が多い。それを少しでも解消するべく、お客様から安心して購入できる、信頼のおける仲介を目指し、住宅購入者に徹底的に寄り添う「バイヤーズエージェント」として、日々奮闘中

消費者が安心して既存住宅を購入するために、
購入前の建物インスペクション(建物調査)、耐震診断、耐震補強の提案、瑕疵保険の付保など「必要不可欠な制度や仕組み」を利用した仲介、そして、今後の時代を見据え資産価値が下がりにくい不動産の「目利き」を得意とする。

リニュアル仲介株式会社 不動産事業部 部長
・宅地建物取引士
・住宅建築コーディネーター
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