買主の為の「賢い住宅購入術」

戸建てを新築するための「土地購入資金」で、親から金銭の贈与を受ける場合の注意点

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夫婦共有名義で、家を建てる計画のAさん
ご主人様は、ローンを組んで、奥様はご両親から資金援助を受けてそれを頭金にする場合、気を付けなければいけない点があります。

家を建てる場合は、土地を持っていなければ、土地を先行して購入する必要があります。

≪モデルケース≫ Aさんの場合

土地代金 3,000万円
建物代金 2,500万円
諸費用  500万円
合計費用 6,000万円

上記必要資金をそれぞれ下記内訳で資金調達した場合

ご主人様 5,000万円 ローン借入
奥様   1,000万円 現金(自分の預貯金300万円+親から700万円住宅取得資金援助)

土地を所有していないAさん夫婦が、家を建てる場合は、土地を先行して購入する必要があります。その場合、先に土地の代金を工面しなければなりませんが、一般的な金融機関では、土地の代金を住宅ローンとして融資するのではなく、建物完成までは一旦「つなぎ融資」という形で土地の代金を融資してくれます。すると、土地代金のつなぎ融資の金利は、あくまでも住宅ローンの融資ではないため、2%半ば~3%前後の金利で融資される金融機関が多いです。

土地を購入してから、建物の立ち上がるまでの期間は、つなぎ融資の金利費用がかかります。
例えば、土地購入してから、建物完成までのつなぎ融資期間が9カ月間あったとした場合、つなぎ融資の利息代は、3,000万円×金利3%×9か月分(約270日分)=約66.6万円 となります。

家を建てるAさんとしては、

だったら・・・
奥様の自己資金を土地購入する際の資金に充ててしまえば、つなぎ融資の金額は2,000万円で足りるため、2000万円のつなぎ融資の利息(約44万円)は、約22万円も節約計算となり、どうせ1000万円の資金を使うのだから、土地購入時の早い時期に現金を使った方がよいと考えます。

まず、そもそもこの場合、親からの資金援助は、贈与の非課税となるのか?
つまり、新築するために土地先行して購入する際、親からの資金援助を受けた場合住宅取得等資金に該当するか?

該当する。

ただし、
住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年の3/15までに、取得した土地の上に住宅用家屋の新築新築に準ずる状態として、屋根(その骨組みを含む)を融資、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものを含むしていない場合は、当該贈与により取得した金銭については、住宅取得資金の非課税制度は利用できません。

すると、11月や12月等の割と年末に近い時期に土地を購入した方、あるいは、土地を購入してじっくり建築会社を選んでからお建てになる方は、3/15までに新築に準ずる状態(およそ上棟の状態)まで出来上がっていない可能性が高まるため、「住宅取得等資金の非課税制度」が利用できない可能性が高まるので注意が必要です。

執筆者のプロフィール

リニュアル仲介株式会社不動産事業部長NAKATA
1974年 京都生まれ。家業であった呉服業界できものの販売をしていた経歴をもつ。不動産業に転職後、品川区・大田区で地元不動産会社に勤務。賃貸や売買の仲介、買取り、その他管理業務などにも携わる。現在、全国550社を超えるリニュアル仲介FC本部パイロット店の責任者へ。
普段は主に、首都圏の中でも城南エリアを中心に活動しています。

不動産業界は消費者の方が住宅を購入する際に安心して購入できる環境がまだまだ少なく、情報が不透明な部分が多い。それを少しでも解消するべく、お客様から安心して購入できる、信頼のおける仲介を目指し、住宅購入者に徹底的に寄り添う「バイヤーズエージェント」として、日々奮闘中

消費者が安心して既存住宅を購入するために、
購入前の建物インスペクション(建物調査)、耐震診断、耐震補強の提案、瑕疵保険の付保など「必要不可欠な制度や仕組み」を利用した仲介、そして、今後の時代を見据え資産価値が下がりにくい不動産の「目利き」を得意とする。

リニュアル仲介株式会社 不動産事業部 部長
・宅地建物取引士
・住宅建築コーディネーター
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