買主の為の「賢い住宅購入術」

不動産を複数で取得した場合の「持分」の決め方について

3979 views
It takes about 3 minute(s) to read this content.

不動産を取得した時、複数の所有者を登記することができます。
これを「共有名義」と言います。

共有名義にする場合、各所有者ごとの「持分」(割合)を決めて登記する必要があります。持分は、夫婦だから単純に半分(2分の1ずつ)、というわけにはいきません。住宅の購入価格と諸費用を含めた総額に対して、それぞれいくらずつ負担したのかによって決まります。

昨今では、一人で購入することが困難な場合や、夫婦共働きで住宅ローン控除をそれぞれ受けたい場合には、夫婦など共同で購入する場合も数多く見受けられます。

「持分」とは、その不動産の名義を誰が、どのくらいの割合を所有しているかを示すものです。

この所有権の持分登記のときには、慎重に資金の出所と持分の関係を精査する必要があります。資金を出した者と所有者が違うとか、借入金の当事者と所有者が違うとか、資金の出所を無視し単純に夫婦2分の1ずつにするなど間違った登記をしてはいけません。間違った部分は、実際に資金を出した人から、資金を出さないのに不動産を所有することになった人への贈与とされ、贈与された人は贈与税が課税されますので注意が必要です。

では、「持分」の割合はどのように決めればよいのでしょうか。

不動産持分の決め方(登記の割合)

「持分」は、購入資金を現実に誰がいくら用意したかによって決めることが大原則です。
つまり、その「出資割合」に応じて、持分を決めるということです。

出資割合と異なった持分にした場合、夫婦間といえども「贈与」とみなされ、贈与税が課せられることがあります。

その人の出資の割合= その人の出した資金(借入金を含む)÷その不動産の購入代金


不動産購入時の資金

不動産の持分を決める際の「不動産購入代金=取得費」に含められるもの(代表的なものは以下のものです。)

※引っ越し代金や、火災保険料などは不動産購入代金にあたりませんので注意ください。

■ケーススタディ

単純に購入代金+諸費用をそれぞれいくら出すかでほぼ決まります。

(例)物件価格(4,680万)+ 諸経費(約.320万)=概算5,000万

それを仮に下記のようにそれぞれ負担した場合、
・夫 ローン3,000万 現金300万 =合計3,300万・・① 負担
・妻 ローン1,500万 現金200万 =合計1,700万・・② 負担

それぞれの出費割合は、
・夫 ①÷5,000万 =約66%
・妻 ②÷5,000万 =約34%

→持ち分としては、
・夫 3分の2 妻3分の1
・夫 50分の33 妻50分の17 ・・等

※持分の言い方としては、
(例)半分の場合⇒「2分の1」でも、「4分の2」でも、「100分の50」でもかまいません。

数万~数十万円の誤差については
贈与税の基礎控除110万分がございますので、その範囲内であれば、多少ずれても問題はございません。

※より詳細な内容を確認したい場合は、税理士または管轄の税務署に必ずお尋ねください。

執筆者のプロフィール

リニュアル仲介株式会社不動産事業部長NAKATA
1974年 京都生まれ。家業であった呉服業界できものの販売をしていた経歴をもつ。不動産業に転職後、品川区・大田区で地元不動産会社に勤務。賃貸や売買の仲介、買取り、その他管理業務などにも携わる。現在、全国550社を超えるリニュアル仲介FC本部パイロット店の責任者へ。
普段は主に、首都圏の中でも城南エリアを中心に活動しています。

不動産業界は消費者の方が住宅を購入する際に安心して購入できる環境がまだまだ少なく、情報が不透明な部分が多い。それを少しでも解消するべく、お客様から安心して購入できる、信頼のおける仲介を目指し、住宅購入者に徹底的に寄り添う「バイヤーズエージェント」として、日々奮闘中

消費者が安心して既存住宅を購入するために、
購入前の建物インスペクション(建物調査)、耐震診断、耐震補強の提案、瑕疵保険の付保など「必要不可欠な制度や仕組み」を利用した仲介、そして、今後の時代を見据え資産価値が下がりにくい不動産の「目利き」を得意とする。

リニュアル仲介株式会社 不動産事業部 部長
・宅地建物取引士
・住宅建築コーディネーター
Share on FacebookShare on TwitterShare on Pinterest